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2007年12月 8日 (土)

パンズ・ラビリンス観たでごいす 【ネタバレ・長文】

気づけば2ヶ月以上ごぶさたしてしまいました。いやぁ…民主党の騒動もあっという間に昔のことのようですね(※大連立で小沢さん辞めるの辞めないの)。あれは、「本当に国民は2大政党制やる気あんのか」(ここで民主党を見放すのか)という一つのハードルのような気もしました。まぁ、自民と民主じゃ大差ないとはよく言うけど、選択肢がないことには…。民主には気張ってほしいものです。

さて、週末、どこか行きたかったので、久々に『映画生活』で映画をチェック。満足度ランキング上位の映画で、びびっ と来た、『パンズ・ラビリンス』を夫と見てきました。夫は、怖い映画や暗い映画には「なぜ金を払ってそんなもの見ないといけないのだ」というスタンスなので、「ハリポタがちょっと怖くなった程度」と騙して連れて行きました(この映画のカテゴリは『ホラー』(笑))。

んんんんんんんー んんんんんんんー
メロディだけの子守唄が、いつまでも耳に残る映画です(パンズ~のHP行くと聞けるよ! http://www.panslabyrinth.jp/main.html やばい深夜に聞いちゃいけない~持ってかれる~)。正直なとこ、好き嫌い分かれると思います。拷問シーンとかもありますし、心臓の弱い人にはオススメできません。でも、見どころ・想像どころ満載なのよ!もう一度見たいなぁ~。
パンフ熟読前に、とりあえず感想を書きます。

あらすじから。-------------

メキシコ映画(スペイン語よね?)です。舞台は1944年、内戦終結後のスペイン。世界史知らんので、はしょって説明しますと、独裁者の軍事政権が確立?され、反政府ゲリラが山にこもって抵抗していたわけです。主人公の少女・オフェーリアは、再婚して身重の母カルメンとともに、新しい父親が待つ山の中の古い館にやってきます。父親は、ゲリラ掃討を指揮するビダル大尉。生まれてくる子どもを男と決めつけ、父親のそばで生まれねばならぬと、臨月の奥さんに山中の長旅を強いるような傲慢な奴です。おとぎ話が好きで多感なオフェーリアが彼とうまくやれるはずありません。ただ一人、ビダル大尉の召使で、いかにも訳あり風の女性メルセデス(名前ですでに強そう)だけが彼女を理解してくれます。館にきてすぐ、オフェーリアはメルセデスがゲリラのスパイだと気づいてしまいます。

ある晩、オフェーリアの元に、ナナフシ(昆虫)がやってきます。オフェーリアがおとぎ話の妖精の挿絵を見せると、ナナフシは見事にその姿を変え… オフェーリアを、館の裏庭の迷宮にいざないます。そこには、異形のパン(牧神)が待っていました。オフェーリアは魔法の地下王国の王女の生まれ変わりで、3つの試練を乗り越えればその王国に行けるのだと告げます。

道しるべとしてパンから手渡された本に、第1の試練への地図が浮かび上がりました。何としても王国に行きたいオフェーリアは、涙ぐましい努力で試練(=怪物の魔手をくぐり抜け、宝物を手に入れる)に立ち向かいます。第1の試練を成功させるものの、第2の試練で失敗をしたオフェーリアは、パンから見放されてしまいます。

失意の中のオフェーリアに追い討ちをかけるように、母のカルメンが出産とともに死んでしまいます。生まれた子は男の子でした。

ビダル大尉たちと山のゲリラの戦いは激しさを増していきます。そんな中、メルセデスはスパイであることがばれ、オフェーリアをつれて山の仲間のもとへ逃げようとしますが、ビダル大尉たちにつかまってしまいます。

ビダル大尉はメルセデスを柱にしばりつけ、嬉々として拷問道具を選びます。と、その時…!

一方、大尉の激怒をかったオフェーリア。部屋に閉じ込められ、失意のどん底にいる彼女のもとに再びパンが現れます。パンは、最後の試練として、ビダル大尉の部屋で大事に守られている赤ん坊を連れ出し、裏庭の迷宮に来るようにと告げます。そうすれば彼女は王国に行けると…。

-------------まぁこのへんからクライマックスなんでこのへんで。

いやいやいや。何がいやいや。
観終わった直後は… なんて皮肉で残酷かなぁと…。
現実世界で戦う大人の女性メルセデスと、夢の王国を求めて試練に立ち向かう少女オフェーリア。
メルセデスは、その後、隠し持っていたペティナイフで大尉の口を切り裂いて逃げ、仲間のもとに無事たどり着くと、オフェーリアを救うためにその晩のうちに仲間とともに館を急襲します。が、時すでに遅し。オフェーリアは、赤ん坊の弟を連れ出して迷宮に向かい、追ってきたビダル大尉に撃たれてしまいます。
館に戻ろうとしたビダル大尉は館を制圧したゲリラに囲まれ、射殺されます。赤ん坊を抱えて迷宮に入ったメルセデスは、真っ暗な中で絶命寸前のオフェーリアを見つけて、悲嘆にくれます。オフェーリアの開かれた目が見つめているのは、しかし、王国の入り口でした。試練を突破して、彼女は王国に迎え入れられたのです。

仲間たちとともに生き残ったけれども、ゲリラとしての道は険しいメルセデスと、夢の王国に旅立ったオフェーリア。どちらが幸せなんでしょうか。そんなに厳しい現実なら、夢を見たまま死んだほうが幸せなのでしょうか。それが戦場の現実だよ、ということなのでしょうか。

色んな意味で二重奏な映画なんですよ。

現実の戦争(ゲリラと軍)。おとぎ世界の試練(オフェーリアと怪物たち)。

実際の怪物(残酷無比なビダル大尉)。空想の怪物(パンやペイルマンたち)。

味方?のパン。敵?のペイルマン。(これらを同じ俳優さんが演じている!)

パンの表の顔。裏の顔。(二面性:ラストシーンもどうも調子良すぎ。パン自体がいわくつきな神様のようですが)

大人の世界。子どもの世界。
(大人のメルセデスと少女のオフェーリア、母カルメンと娘オフェーリア)。

なーんて感じで。

話は戻りますが、メルセデスがかっこよかったです。
名前もすごいんですが、顔が…訳ありすぎます。ビダルにはセクハラ(肩なでまわされたり…男女の仲を迫られたりもしたんだろなぁ。あったのかなぁ)され、かつ弟との親密さも気になり(最初、恋人だと思ったよ)。
正直なとこ、弟はあまり賢明な感じでないので、この人がリーダーやったほうがいいと思うのですが、この人はあくまで弟を立て…戦国時代の賢い妻風?時代がそうなのかな。
オフェーリアを守ろうとする姿に、「エイリアン2」のリプリーも思い出しちゃったりして。少女を守る強い女。リプリーほど派手じゃないですが。

とにかく、観終わってからも、色々、想像する余地があって。
なんで、冒頭から、死に瀕しているオフェーリアの姿を我々に見せたのか、とか…。
最後、ビダルが迷宮の入り口(であるはずの場所)までオフェーリアを追ってきて、パンと話しているはずの彼女をビダルの視点から我々に見せたのか…(誰もいない暗闇に向かって話しているオフェーリアの後姿の、なんと悲しいこと!)。

ビダルに撃たれ、暗闇で死んでいくオフェーリアの魂がたどりつく王国の、なんて明るくて暖かくてきらびやかなこと!
夢の中にしか楽しいことがないなんて、子どもにそんな悲しい思いさせてちゃいけない! というメッセージがあったのかどうかは?ですが。

ビダルも色々想像させる人物でした。実は死にたがっているのかな、と思わせるような。いつも自分の部屋の鏡の前でかみそりでひげをそるのですが、鏡の中の自分の首を真一文字に切ってみたりするので…(ビダルがかみそり持ってるだけですでにかなりこわいのですが…)。
カルメン目当てに、オフェーリアの父親を実はわざと激戦地に飛ばしたのでは…とか。
自分の父親に対する複雑(そう)な感情と、自分の息子に対する過剰な執着心。

ビダルの最期。赤ん坊を取り上げたメルセデスにビダルが「父親の死んだ時間を子どもに伝えてくれるか?(自分の父親と同じことをしようとする)」と頼むと、メルセデス
「父親の名前も教えないわ」 (さすがネーさん、きびちー!)
メルセデスに右のほほを切り裂かれた(これを、自分で縫うシーンがあって、見てるだけで痛い!!!)ビダル、最後はメルセデス弟に左のほほを撃ち抜かれ、絶命。合掌。

そのビダルの息子がどうなるかも想像どころ。オフェーリアの父違いの弟ね。
立派なゲリラになるも、実の父のことを知り、メルセデスと弟にのちのち復讐か…(これも戦国時代風)。

その子がオフェーリアのことを聞くのはいつのことになるのか。おとぎ話好きの女の子がいたことを。母のお腹の自分に語りかけていた姉のことを。
カルメンに頼まれて、オフェーリアがカルメンのお腹の子におとぎ話を聞かせるシーンがありました。山の上のバラを手に入れると不老長寿が手に入るのだけど、その山は毒のとげに包まれていて誰にも近づけず、バラはいつまでもむなしくその花を咲かせては散らすのでした…(ここの映像美しかった~超CG)。

オフェーリアはカルメンが大好きだったんだよね~。美人であこがれの女性だったみたい。それだけに、大尉と再婚したことはショックで、オフェーリアは母を問いただすのだけど、「大人になれば私の気持ちがわかるわ」
カルメンが死んだときのオフェーリアの絶望たるや。

さてさて、すでに十分長いですが、全く触れておらずなおかつこの映画のウリのである怪物さんたちの話をしましょう。

パン(牧神)は、メイクその他、超凝っていました。が、省略。
なんつっても、すごかったのが、上で名前だけだしてるペイルマンですよ…。

オフェーリアの第2の試練は、限られた時間の中で異世界に行き、宝物を取ってくることでした。パンにもらった白いチョークで自分の部屋に扉を描くと、そこは異世界への入り口。オフェーリアは、お城の中のような長い廊下を抜け、大広間にたどり着きます。長いテーブル。たくさんのご馳走が所狭しと並んでいます。
テーブルの上座には、目がなく、鼻もない(穴だけ空いている…)白くぬらりとした蝋人形?が、テーブルの上にうでを置いて座っています。手元には、目玉が2つころがっています。きもっ。
第1の試練で手に入れた鍵で、宝の短剣を手に入れたオフェーリア。「何も食べてはいけない」というパンの忠告を無視し、妖精がとめるのも聞かず、テーブルの上のブドウを1粒口に入れてしまいます。

と、その時、人形の恐ろしく長く黒い爪がピクリ。人形じゃなかったのです!広間の天井の絵をご覧ください。同じヤツが、子どもを頭から食べています。ご馳走は、子どもをおびき寄せるためのエサで、こいつは子どもを食らう怪物ペイルマンだったのです。ギャー!!
ペイルマンは、そろそろと、両の手のひらの穴に、目玉をはめこみます。オフェーリアは全く気づかず、2粒目のブドウを口に入れます。しかし、彼女の背後では怪物が今まさに…開眼!!!
ヒー!!!
こええ!!!
結局、彼女を逃がそうとして3匹の妖精のうち2匹が食われるのですが、オフェーリアはどうにか逃げおおせます。

いやー…。こんなおとろしいもんを造形したことに感服です。しかも、おとろしいだけでなく、映画を見終わったあと、この顔ばかりが思い出されるのです。なんとなく愛嬌が…。PCの壁紙がこの映画のHPで配布されているので会社で使いたいのですが、さすがに引かれると思うので思いとどまってます。
「映画生活」サイトでは、YouTubeの映像にもリンクが貼ってあって、それを見たら、とっても素敵な俳優さん(ダグ・ジョーンズ。パンとペイルマンの両方を演じている)なので驚きました。私の好きなアーチストTMBGのジョン・リンネルに似ている…。

ほかの怪物?マンドラゴラの根もなんともいえませんでしたがね。もだえる姿が… ウキュッキューッ

さて、同じスペイン内戦下を描いた映画ということで、「ミツバチのささやき」との比較もあるようですが(←私も1回だけ見たことがあるのですがあまり覚えておらず…。goo映画にあらすじが書いてあったので今読んでみました。いつかどこかでパンズ・ラビリンスと2本立てになったら見て見たいですね)、私はなぜか「ポネット」を思い出しました。今回の映画とはだいぶ違うけどね…。お母さんが楽な道を選んで子どもが苦労し、子どもが一生懸命あっちの世界へ橋を架けようとがんばるという点で共通項が?(結果的にカルメンはちっとも楽でない道を選んでしまいましたが…)

大変長くなりましが、この辺でとりあえずやめときましょう。
昔、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を見て精神不安定になり、家のたんすの木のうろの部分が顔に見えてきて怖い思いをしたワタクシですが、今回、この映画を見た後で、、、071118_12060001

この穴だらけの雑巾が、顔に見えました。(だんながいない間にこっそりこの写真を取りました…)

この下にチョークで四角でも書けば、迷宮への入り口になるかもしれませんね。

ここまで読んでくださった方、お付き合いいただきありがとうございました。

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コメント

TBありがとう。
とってもおもしろいblogでした。パチパチ!!
で、騙されて連れて行かれた旦那さんは、満足していました?(笑)

投稿: kimion20002000 | 2007年12月17日 (月) 03時23分

TBとコメント、どうもありがとうございました。お返事遅くなってすみません…。
夫は…「(作り手は)何のためにこういう映画を作るの?」と言っていました。
ん~…答えられず。まぁ、作りたいからなんでしょうけど…。

比較的早い段階で、ビダル大尉ワインボトルで農民撲殺シーンがあったので、相当うろたえました(私が(笑))。映画終了後、開口一番謝りました(笑)(笑)。
あのシーン、強烈でしたよね。ビダル大尉の人となりを決定付け。おじいちゃんの「ぁああ私の息子が…死んでしまった…」というちょっと間延びした哀しい字幕も印象的で。

投稿: 七うさ七色 | 2007年12月22日 (土) 11時44分

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» mini review 07076「パンズ・ラビリンス」★★★★★★★★☆☆ [サーカスな日々]
解説: 1944年のスペイン内戦下を舞台に現実と迷宮の狭間で3つの試練を乗り越える少女の成長を描くダーク・ファンタジー。『デビルズ・バックボーン』のギレルモ・デル・トロ監督がメガホンをとり、ファシズムという厳しい現実から逃れるため、架空の世界に入り込む少女を通じて人間性の本質に鋭く切り込む。イマジネーションあふれる壮大な視覚技術を駆使して生まれたクリーチャーや深く考察されたテーマに根ざした巧みな演出が衝撃的。 [ もっと詳しく ] (シネマトゥデイ) 原題 EL LABERINTO ... [続きを読む]

受信: 2007年12月10日 (月) 13時12分

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